JIU LABO BLOG

プロンプトの時代は終わった

 村田亜衣(マネージャー)

「呪文」を覚える時代があった

AIを使いこなすには、うまいプロンプトを書く技術が必要だ。少し前まで、本気でそう言われていました。

「あなたは優秀な〇〇です」で始める。手順を箇条書きで細かく指定する。出力形式を例で示す。そんな「型」を集めたテンプレート集が売られ、プロンプトエンジニアという肩書きまで生まれました。

でも今、毎日AIと仕事をしていて思います。あの呪文、もうほとんど唱えていないな、と。

AIが「察する」ようになった

理由はシンプルで、AIのほうが賢くなったからです。

以前のAIは、言われたことを言われた通りにしかできませんでした。だから人間が、誤解の余地がないよう指示を組み立てる必要があった。プロンプトの技術とは、言ってみればAIの理解力の低さを補う技術だったわけです。

今は違います。「来月のイベントの告知文、いつもの感じで」と雑に頼んでも、意図を汲んで形にしてくる。足りない情報があれば向こうから聞いてくる。指示書を書くより、隣の同僚に話しかける感覚に近くなりました。

代わりに大事になった3つのこと

じゃあ、もう何も考えなくていいのか。そうではありません。問われるものが変わっただけです。

必要なのは「書く技術」ではなく、
「仕事を渡す技術」。

部下や外注先に仕事を頼むときと同じスキルです。

柔術道場のバックオフィスで実感していること

私は柔術道場を運営する会社で、経理・人事・総務・広報・イベント運営までほぼ一人で回しています。領収書の整理、給与振込、ポスターやパンフレット、プレスリリース。正直、AIなしでは回りません。

その中で、プロンプトを工夫して成果が上がった、という実感はあまりありません。効いたのは、会社やジムの前提をきちんと伝えたことと、出てきたものを見て「ここは違う」と言えたことです。

柔術でも、技の名前を知っているだけでは勝てません。相手の動きを感じて、その場で判断できるかどうか。AIとの仕事も同じだと思っています。

なぜ私がここまでできるのか

よく「一人でどうやって回してるの?」と聞かれます。答えは、AIがすごいからだけではありません。AIに渡せる「土台」が、たまたま私の中にあったからだと思っています。

新卒から大学職員として長く働き、組織のバックオフィスがどう動くかを現場で見てきました。中央大学の経済学部では、エクセルを使い倒し、論述を山ほど書きました。おかげで、頭の中で論理を組み立てるのが速くなったと思います。AIに何をどう頼むかを一瞬で整理できるのは、たぶんこのときの訓練のおかげです。その後、早稲田大学大学院のスポーツ科学研究科でスポーツ組織のことを学びました。そして何より、柔術の世界が好きなこと。私は競技者ではありません。でも、夫の良蔵さんや道場に集まる皆さんが好きで、気づけばこの世界にどっぷり浸かっていました。

AIは、私が知らないことを補ってくれます。でも、何が正しくて何が違うかを判断する物差しは、私の経験の中にしかありません。経験があるからAIに的確に任せられるし、AIがいるから一人で何人分もの仕事に手が届く。その掛け算が、今の私の働き方です。

問われるのは「何をしたいか」

プロンプトの時代は終わりました。これからは、どう聞くかより、何を成し遂げたいのかがはっきりしている人が強い。

テンプレート集を探す時間があったら、自分の仕事の目的を一言で言えるようにしておく。そのほうが、AIはよほど良い相棒になってくれます。

ちなみに、このブログもClaudeと一緒に書きました。凝ったプロンプトは一つも使っていません。「プロンプトの時代は終わったってブログ書きたい」と話しかけて、あとは「そこ違う」「これも入れて」とやりとりしただけです。

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